●おいしくってありがとう 味な副音声の本: 平野紗紀子、河出書房新社、2025年4月発行、2100円(税込み2310円)
買う本が決まっている場合は、楽天やAmazonなどで購入することが、もはや普通になっています。
しかし、従来型の実店舗である書店の良さは、いい本がないかなとウロウロ探せる楽しみがあることです。
気になった本は、すぐに手に取ることができて、中身を確認することもできます。
私が考えるいい書店とは、本や雑誌のバリエーションが豊富、在庫の数が多い、通路が広くて通りやすい、店内やスタッフの雰囲気がいい、便利な場所にあることなどがポイントとです。
これらの要素を全て満たしている、お気に入りの書店は紀伊國屋書店梅田本店です。
阪急梅田駅に隣接する、阪急三番街の1階にあります。
最近多いビル形式の大規模書店とは違って、ここはワンフロアで店内が広いため、いろいろな本を探しやすくて便利なのです。
紀伊國屋書店の店内を歩きながら、ふと目に留まったのが「おいしくってありがとう 味な副音声の本」でした。
無意識に引き寄せられるように、この本を手に取っていました。

表紙に平野紗紀子って書いてあるなと思いつつ、中を開いてパラパラ見ていると、”ビーフジャワカレーは外食産業界のオーパーツ”という項目が。
またまたロイホの話題か?と思っていると、そういえば前回紹介した本「ロイヤルホストで夜まで語りたい」に平野さんも執筆されていたと気づきました。
恥ずかしながら、フードエッセイスト平野紗紀子さんのことを、私はこれまでよく知りませんでした。
かなりの人気作家だったんですね、、、、すみません。
この本は、平野さんが担当する大人気のポッドキャスト&ラジオ番組である”味な副音声”の本です。
食のテーマごとに、色々なジャンルの人との対談を書籍化したものでした。
面白くて、最後まで一気に読み込みました。

読み進めるごとに、平野さんが繰り広げる、食に対する繊細かつ独特の視点から繰り出されるワードに惹かれていきます。
読んでいておいしく、そして楽しい本でした。
#なぜモスの紅茶はうまいのか?”
”「美味しんぼ」を愛しすぎた男”
”4℃といえばモスのレタスでしょ?”
など、タイトルを見ているだけで興味深い話題ばかりです。
この本を読んでから、実際にモスで紅茶を初めていただきました(いつもはコーヒー)。
レタスは、4℃の氷水に入れられシャキシャキです。

モスの茶葉は、紅茶の二大巨頭のダージリンやアールグレイではなく、キャンディーというスリランカの茶葉らしいです。
キャンディーは、タンニンが少なく渋みが軽いため飲みやすく、とにかくモスのハンバーガーによく合うことが特徴のようです。
キャンディーを単独で使っているカフェなどはまずないらしく、そこにモスの気合いを感じます。
この本には、このような普段知ることのできない情報が、たくさん詰まっています。

平野さんのあとがきに、「この本に収められたのは、人が人と関わり合うことで生まれた、食を巡る心の動きの集積です。おもしろくって、うれしくって、さみしくって、たのしくって。」と書かれていました。
まさにこの通りの、食に関する素晴らしい本でした。
合計300ページ近くあり、読み応え十分な大作であり、2000円を出す価値がありますよ。
ぜひ一度、読んでいただけたらと思います。
楽天ブックスでの購入は、下記リンクから。
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